― PASTOR ”Ｂ”こころのメモ ―　2009年5月10日 (愛には恐れがない)

映画「母べえ」を観た。既にご覧になった方もおられるだろう。とても良い作品である。戦前から戦中、治安維持法によって国政に対し少しでも危険思想の持ち主と判断された者は投獄されたり、監視されたりした。吉永小百合演ずる母べえの夫は監獄に入れられ、考えを最後まで貫いたゆえに獄死して行く。二人の娘を健気に育てる母親の愛情と、信念を持って生きることが許されない時代にも、夫を信じ家族みんなで「今日帰ってくるか、明日か？」と心待ちにする妻と子供達の姿が描かれている。そして夫はそこに居ないけれども、まさにそこに居るか、それ以上に家族の心を一つに結び合わせているように私には思えた。物がなく、不自由が覆いかぶさって、時代に理解されない孤独の中でも凛とした強さを持つ母の逞しさと家族の絆が作品全体にあふれている。 　この物語はフィクションであろうが、実際、牧師の家庭などでは戦時中同じようなことが起こった。きっとこのように辛く、孤独な日々であっただろう。それにしてもこの母べえの強さはどこから来るのだろうか？「全き愛は恐れを締め出す」と聖書にある。 　今日は「母の日」。世界中で母に感謝を表すこの記念の日は教会から始まった。それはキリストが命を投げ出してまで私たちを愛し、惜しみなく与えてくれたことが起源となっている。地上の母をもう既に天に送った方もいるだろう。だが、母の愛の元となられた方は今日も生きて、私たちに愛と真実を下さる。この方にあって与えられた人生の今日を「凛」として生きていこう。