― PASTOR ”Ｂ”こころのメモ ―　2010年9月12日 (1枚のポスター)

高校3年の秋頃には誰もがクラスで進路について話し合っていた。時代もそうだし、実業高校だったので半数以上は就職して行く。後の残りの者は進学や、家業を継ぐなどであったと記憶する。そのころの私は迷っていた、というか全く道が見えてこなかったのだ。このまま農業継ぐのは嫌だし〈当時私は農業を嫌っていた〉、サラリーマンとして働くのもどうも気が乗らない。そんな中、クラスの仲間たちは次々と進路方向を決めていった。私の中に少しの不安と焦りがあった。 　ある日、学校の職員室への廊下を歩いていると一枚のポスターが目に入った。それまでにも暫くその場所に張られていただろうが、全く気付かなかった。「第13期‐派米農業研修生募集」大きなアメリカ大地に広がる農園を背景に書かれた、この文字が私の心を捉えた。「これじゃ！」早速この団体に手紙を書き、卒業したらすぐ行きたいと願い出た。だが応えは、19歳以上でなければ資格を得ないとのつれない答え。1年間実家で農業を手伝いその時が来るのを待った。田畑に入って服を汚しながら一日中農作業するのは18歳の青年にはカッコ悪かった。同級生の人たちは自分で稼いだお金で車を買い、ドライブを楽しんでいる。ずっとスマートに見えた。長い1年であった、しかし、私の心に全然迷いはなかった。今振り返ると、何故あれほどまでにひとつ心で居られたんだろうかと、自分でも不思議なくらいだ。おそらく心の中にあのアメリカの大地に立つ自分の姿を描き続けていられたからだろう。そのアメリカで初めて聖書を手にし、創り主を知った。つづく．．．