― PASTOR ”Ｂ”こころのメモ ―　2010年12月19日 (クリスマス)

オレゴンの農場で私が住んでいたトレーラーハウスには、夜の訪問者はめったにないことだった。12月の上旬だったろう、夜の７時を回った頃、コンコンと誰かがドアをノックした。私の頭にまず浮かんだのは「やばい」であった。また、ボスに何か注意されるか、それともう一つ、少し前のハロウインの夜、突然子供達が変装して来て（ハロウインの意味さえ知らなかった）私に“trick　or　treat”と子供の喜ぶお菓子を出せ、とせがまれた。何も差し出すものがない私は、ただ困惑したのと、子供達が気の毒だったあの夜の記憶があったから。少しドキドキしながらドアを開けた。ドアの向こうには村の分校でよく一緒にバレーボールやソフトボールをした仲間達が15人ほど立っていた。大柄できこりをしていたDaveがクリスマツツリーを抱え、ボスの息子のBrianが袋に入れた飾りのオーナメントを持っていた。ハロウインの夜の子供たちもいる。彼等はMerry　Christmas！と言いながら私の家に入って来、ツリーを立て、飾り付けを始めた。女性たちは持って来た手づくりのクッキーや飲み物を出し、座るところもない小さな部屋でクリスマスを祝ってくれた。英語もよくわからない、そしてたった１年半で去っていく研修生の私のために、何故こんなにも温かくしてくれるのだろうと、喜びを感じつつ思ったものだ。しかし、これがクリスマスの心であることを後から知るのである。神の恵みはその意味さえ知らないものの上にも注がれている。その恵みを知る彼等は、ただそれに応える想いで私を訪問してくれたのだろう。