― PASTOR ”Ｂ”こころのメモ ―　2012年 1月 8日 (豊かさ)

私が育った実家の家屋は終戦の翌年に建てたと聞いた。私にとって沢山の思い出がある建物だが、年々傷んで行くのが見える。屋根は本瓦で、丸い瓦の中には赤土が入っているので屋根が大変重い造りである。見えない土台部分もかなり弱っているのか8畳間の軒が上からの重さで下げられ、だんだん襖の開け閉めが出来にくくなってきた。何年か前に私が真ん中に柱を立てて軒が下がるのを止めはしたが、どこもかしこも戸がきちっと閉まらないので隙間がいっぱいある。でも大したもので父母はそんな家にいてもこの冬も「寒い」とか一言も言わない。そこで私は聞いた「この家寒－ないで？」とすると母が「いっちょも寒―ない、こうやって動いとったら平気じゃ。」と言う。寒さを感じないわけではないだろうに、さすが毎日外で仕事している上に戦前生まれ、逞しいなと感心した。豊かさは便利さと快適さをもたらしてくれる一方、人間の我がままを増長させもする。それ故に物の豊かさとともに心の豊かさを養わなければならない、その様な時代に今私たちは生きているのだろう。 　パウロは「豊かさも貧しさもあらゆる境遇に対処できる秘訣を知っている。」と熱く語った。それは「彼を強くしてくださる方イエス・キリストが共におられるから。」と。世界経済が頭打ちになり、原子力の怖さをまじまじと味わった私たちは本当の豊かさをもたらすことのできる方に近くありたい。