― PASTOR ”Ｂ”こころのメモ ―　2012年 1月 15日 (ふるさとのために)

昨年の11月末、あるところでサックス演奏をしてプログラムを終えようとした時、年配のある女性が申し訳なさそうに前に出てこられ「すみません、アンコールで『ふるさと』吹いてもらえませんか。私宮城県から来た被災者のものです」とおっしゃる。そこで私も「そうですか、分かりました。久しく吹いてませんが、精一杯気持ちを込めて吹きますので、皆さんも一緒に口ずさんで頂けますか。」と会衆の方に向きながらその女性のリクエストに応えた。私は口がふさがっているので歌えなかったが、みんな心を込めてふるさとの歌詞を噛み締めるように歌ってくれた。おそらくそれぞれが自分の故郷を心に描きつつ、その有り難さと、思い出を描いていたのだろう。私は年に2回故郷へ帰ることができる。お正月と夏にだけ帰るわけだが、いつでもそこに帰れるという安心と、変わらずに私を迎えてくれる温もりがある。いつでも帰れるけど帰らないのと、今にも帰りたいけど帰る所が無くなったというのでは全く話が違う。寒さ厳しいこの空の下、被災地では失った故郷を心に閉じ込めて、避難所で過ごしつつ復興に向かって歩んでいる方々が多くいる。特に福島は家も土地もそのまま残っているのに、ゴーストタウン状態になってしまっている。被災された人々の心のいかに切なく、悔しく、重いものか。少しでも私たちがその重い荷を分かち合えるようにと２・１１のチャリテイーコンサートを成功させたい。そこに必ず主の栄光が現れると信じる者である。