― PASTOR ”Ｂ”こころのメモ ―　2012年 7月 15日 (敗者の弁)

4度目のグランドスラム決勝進出。今回こそは地元開催でもあるウインブルドンテニスで優勝をするとのファンからの大きな期待と、自らもそれなりの自信と決意で臨んだ対フェデラーとの2012年大会決勝。だが今回もイギリス出身、アンデイ・マレーは1対3で敗れた。試合後の表彰式は準優勝者からインタビューがある。感想を聞かれたマレーは一言「大分近づいて来ているんだけどねー」と言ったところで、感情がこみ上げ涙が溢れてきた。一生懸命気持ちを抑えようとするけれどもそう簡単には行かない様子。先ほどまでいいショットを決めては雄叫びを上げ、闘志満々だった身長１８８ｃｍの大男がこみ上げてくる思いと涙とに遮られて言葉が出てこない。観衆からは大きな拍手と歓声が沸きあがり、彼の涙に共感して目頭を押さえる人々の姿も映し出された。彼がどれほどこの決勝で勝ちたかったか、必死に戦ったか、涙をこらえながら彼は話し始めた。まず対戦相手の優勝を讃え、支えてくれたサポーターに感謝し、最後に観衆の期待には添えなかったけれども決勝までの一戦一戦での熱い応援に感謝の意を表した。飾らない正直な気持ちが伝わる、何とも言えぬ感動的なインタビューシーンだった。おそらく世界中でテレビの前で見ていた人々の心も私と同じように感動したのではないだろうか。 　敗者の言葉であるからこそ人の心を励まし、慰めることが出来るものがある。神様は私達の結果だけでなくそのプロセスを見ていてくださる。「悲しむ者は幸いです。その人は慰められるからです。」マタイ5章4節