― PASTOR ”Ｂ”こころのメモ ―　2012年 8月 12日 (一つの道に賭ける)

一度は嫌いになった柔道に、今はこう声をかけたい。「愛している。私の人生を変えてくれてありがとう。」ロンドンオリンピック柔道78キロ級で金メダルを取ったアメリカ、ケイラ・ハリソンさんが、優勝会見で語った心からの言葉である。7歳で柔道を始めた少女が13歳の時、信頼していたコーチに性的被害を受けた。｢二人だけの秘密｣とコーチの地位を利用し、3年もの間幼い少女を虐待しつつ黙らせた。苦しい毎日、柔道を止めたいと心底願う。しかしその理由を言えない彼女の苦しみはどれほどだったかと察する。そのコーチが他の女性にも被害を及ぼしていることを知り、やっと友達に打ち明けることが出来た。16歳だった。 　自分が虐待されるようになったのは、好きな柔道に関わったから。しかし、その暗い過去を見事に吹っ切ってくれたのも柔道。そのような晴れ晴れとした気持ちが伝わってくる言葉だ。痛みと苦しみ、そして孤独の中にも好きな柔道を続けることに彼女は一つの光を見出していたのだろう。勝利の後、観客席で応援する婚約者に向かって走り寄り、彼女が抱きかかえられる姿。ケイラさんの周りには多くの支える人、愛の人もいた。 　逃げることでなく、正面からそのことに向かい合っていく。他者のことなら簡単に言えるが、いざ自分の問題となるとそう易しい事ではない。ただ一つ言えるのは、彼女の柔道に対する信念であろう。 　主イエスを信じる者にも、状況は違ってもその信念から生まれる光が必ず与えられるはずだ。何故なら聖書はこう約束している。「私達は真実でなくても、彼は常に真実である。何故なら彼はご自身を否むことができないからである。」Ⅱテモテ2章13節