― PASTOR ”Ｂ”こころのメモ ―　2012年 10月 21日 (ホーム)

私に洗礼を授けてくれた伊藤栄一牧師は60代後半から巡回伝道を始めた。80歳代を迎えても先生は元気で全国及び、時には北米や北欧まで巡って伝道をしていた。その頃、四国と本州を繋ぐ橋は一つもなく、先生は車の免許を持っていなかったので、殆どの場合、フェリーを使っての旅が多かった。私は農業を営んでいたので、出来るだけ時間の都合をつけ、車で先生を徳島港まで送迎した。帰り道、だんだん先生の家に近づいて来ると、決まって出る言葉があった。｢我が家はごちゃごちゃしていて、奇麗ではないけれど、武間さん、やっぱり自分の家が一番良いねえー。ほっとするわね！｣と。(奥様は亡くなられていた)伊藤師のその人柄だけでもそうだが、高齢の先生は行く先々の教会で温かく迎えられ、心のこもったおもてなしを受けていたことだろう。それは、帰り道の車の中での先生の旅の報告を聞くだけで容易に想像できた。しかし、先生のあの感慨深い言葉は私の心に深く残っている。安心して帰り着くホームがあることの大切さと、其れゆえの喜びや、平安を教えてくれた。 　今、先生は天国にイエス様とご一緒されているけれど、永遠の御国の住み心地はどうなんだろう？在り得ないけれど、もし聞けたら、きっとこう言うだろう。｢武間さん、我が家が一番と言っていたけれど、イエス様の側に来たら、これに勝るところなしじゃね。｣と。｢御子を信じる者は一人として滅びることなく、永遠の命をもつ。」ヨハネ3章16節