― PASTOR ”B”こころのメモ ― 2013年 1月 1日 (凛とした姿)


 教会の近くにあるホスピスに昨年末もキャロリングに行かせて頂いた。チャプレンが最初に案内して下さった方は、私と一周りくらいしか変わらない年齢であられたと思う。重病であられるのに私達を部屋に招き入れてくださり、ベッドに腰掛けて待っていて下さった。食事台の上には小さなクリスマスツリーが電飾で光っていた。目を閉じ、姿勢を崩さずじっと歌を聴いて下さった。その後、チャプレンの短い祈りがあり、そこに居た皆が頭を垂れ、クリスマスの感謝と主がここにも来ていて下さる事を祈った。その患者さんの凛としたお姿がとても印象的であった。「今の方は〜教会の信徒さんです。」とチャプレンより後に紹介があった。今回は多くさんの部屋にご案内くださり、にわか仕立ての聖歌隊の奉仕を快く受け入れて下さる患者さんやスタッフの皆さんに私たちは皆、感謝の思い一杯で歌わせて頂いた。終わってみると50分もクリスマスの讃美をしていたようだが、実に荘厳な思いに満たされた時であった。
 死というものを間近に感じる時、命と死の境ってなんなのだろうと考える。今そこで息をしていた人が心臓が止まり、命を終える。見た目には呼吸運動以外にその変化を直ぐには見分けられない。だがもう二度と戻ってくる事はない。そこに命と死に対する厳粛さを受け取ることと、魂が抜けたと言う表現が正に当てはまるだろうと思える状況がある。命は借り物で、その尊いものを造り、支配している方の元に魂は引き上げられる、そう強く感じる。
 キリストは明言した。「私はよみがえりです。命です。私を信じるものは死んでも生きるのです。」この厳粛な事に対しはっきりと答えを与える。最初に訪れた患者さんの凛とした姿の内に、私はこの確かな答えを見た思いがする。