― PASTOR ”Ｂ”こころのメモ ―　2013年 1月 13日 (思い出、その２)

私の祖父は69歳の時胃癌で胃の全摘手術を受けた。手術は成功だったが、胃がないので、病院から帰って普通の生活に戻ったとき、トイレに急に行きたくなる事が多くなり、間に合わなかったりするので、その不安から畑仕事の他は外出することが少なくなった。医者が退院する時に告げた。「タバコは絶対ダメです。でもお酒は晩酌を少々ならいいでしょう。」この言葉で煙草は止めたが、毎日夕方から台所で酒を飲むようになった。寂しさと、避けられない老いへの不安からか、酔っぱらってはよく周りに居る者に絡んで文句を言うようになった。だから家族も自然と避けるようになり余計に一人で飲む時間が長くなる。私はそんな雰囲気が嫌で祖父に「酒は飲んでもええけん、文句ばかり言わんといてくれ。」とよく注意した。 　ある晩、また酔ってうるさく小言を言っていたので側に行き、どれほど周りの者は迷惑し、嫌な思いをしているかを強い口調で告げた。売り言葉に買い言葉。大げんかになった。頭に来た私は、なみなみとつがれた酒が入ったコップがあるテーブルを下から蹴り上げた。コップはひっくり返り、酒が床に流れ落ちた。祖父は怒り心頭、怒鳴った。「蹴ったな！ワイが飲もうとしとった酒が入っとった机を蹴ったな！このどアホが〜！」私も言い返した。「我が儘ばっかり言う酒なんぞ、いるか！」孫と祖父の遠慮のない関係ともいえるが、病気をすること、老いて行く不安を全く理解しない私の若気の至りである。 　イエスキリストはどうなんだろう？ヘブル書4章15、16節に「私たちの大祭司（キリスト）は私たちの弱さに同情できない方ではありません。（中略）おりにかなった助けを受けるために、大胆に恵みの御座に近づこうではありませんか。」とある。主を信じていても病の辛さ、老いて行く不安と孤独に心奪われる事もある。でも大丈夫。聖書はそのまま大胆に恵みの神の元に来いと告げている。そこには必ず助けがあると。